12月23日公開記念舞台挨拶【オフィシャルレポート】
生成AI技術とモーションキャプチャーのコラボで制作された世界初のアニメーション映画『死が美しいなんて誰が言った』がついに公開。初日翌日の12月23日には公開記念舞台挨拶が都内映画館で実施され、声優を務めた長江崚行、中村ゆりか、真山りか、山田ジェームス武、ももんぬ(主題歌)、そして中島良監督が出席した。
ゾンビウイルスに感染している詩人レイを演じた長江。満席の客席から拍手と笑顔で迎え入れられると「ジャンル的にはホラー作品なのに、皆さん意外とハッピーな感じ。どんな心情なのか気になります」と笑わせつつ「僕は舞台を中心に活動しているのでアニメ映画に関わったのはこれが初めて。自分の声とキャラクターの口の動きを合わせるリップシンクが難しかったりして、貴重な経験をさせてもらいました」としみじみ。
ウイルスに感染した兄妹を守る医師リカ役の中村は「中島監督がお芝居の雰囲気を見て『アニメの表情の方を変える』と言っていたので『アニメって後から絵を変えることが出来るの!?』と驚きました」と新鮮体験。レイの妹ユウナ役の青山は「ユウナは感情の起伏が激しくてどこか浮いているキャラクターで、色々な人の感情をかき乱す厄介者。でも演じていくうちに愛らしいキャラクターだとわかって、みんなに愛してほしいと思った。現代でいうメンヘラセリフもありました」と役柄を紹介した。
密航しようとするリカを手助けする密航斡旋業者タキシバ役の山田は「僕は舞台俳優なので声でどれだけの表現ができるのかわからず、技術的な面も含めて難しくて躓きながらも今持っている力を出し切って演じました。今後舞台で使える技術も学ばせてもらいました」と新境地開拓。そんな俳優陣に対して中島監督は「自分がやろうとしていたもの以上のものを表現してくれた。今回の作品を通して改めて映画を形作るものとは芝居だと思った」と感謝しながら「アフレコは3時間くらいでしたが、みんな収録に入るときは元気だったのに終わって出てきた時は死にそうな感じでした」と苦笑いだった。
これに山田は「しんどかった!録ったものを直後に聞いて、もう一度やり直したいと思うことが沢山あった」と慣れない声優業に苦戦したようだが「悔しい思いもあるので、またご一緒出来れば嬉しいです」と中島監督との再タッグを期待していた。
主題歌担当のももんぬは「中島監督からは『重く悲しい映画なので、最後にすべてを浄化させる感じで』とオファーをいただきました。普段はピアノや楽器を使っていますが、今回はアカペラで声だけでやりました。歌詞を使わず声だけで人との関係性と記憶の部分を表現することが出来るのか挑戦でした」と話した。
最後に主演の長江は「ゾンビ映画なので観客の皆さんは怖い思いをされたと思うけれど、僕らは楽しくハッピーに収録をさせてもらいました。舞台でもホラーをやったりしないので、こうして皆さんの前でアニメ映画の初主演が出来たことにも感謝しています」としみじみ。そして「アニメは今後一生なくならないコンテンツだと思います。これからも色々な発展をしていくと思うので、生成AI技術とモーションキャプチャーのコラボで制作された世界初のアニメーションという挑戦の一端を担えたことを誇らしく思います」と感激していた。
中島監督も「人間は誰しも命のバトンを受け継いで生きているものです。僕はコロナ禍に、悩みながら苦しみながらも生きてほしいという願いを込めて本作を企画しました。それを素晴らしいキャストやスタッフが映画として表現してくれて完成したことを嬉しく思います」としみじみ。生成AIで長編映画を作るのは世界初の試みだが「生成AIを使って思ったのは、人の仕事や人の活動の場を奪い無にしてしまうものではないという事。すべての表現の根底には人間の想いや力があって、それを生成AIが助けてくれる。いわば人間の相棒。そのような使い方が今後増えていくと思うので、様々なクリエイターに知識や技術を伝えて素晴らし作品を世界に届けていきたいです」と意気込んでいた。